2009年7月取扱作品一覧
楠 瓊州(くすのき けいしゅう)「水墨瀑布図」
作家略歴:
名利から離れ、生涯ひとり静かに絵を描き続けた南画家・楠瓊州の名前を知る人は少ない。 鉄斎や玉堂に傾倒した瓊州は、生涯に多くの山水画を残した。そこには鬱蒼と茂る草木と岩山、その合間をすり抜けるように流れる渓流が多く描かれる。幾重にも引かれた線は奇妙な画面の歪曲を生みだし、それが瓊州ならではの画面を作る。しかしこの作品に描かれる滝の清々しさといったらない。 ひと息に滝壷へ落下してゆくこの水の潔さ。 瓊州の持つ純粋で爽やかな力強さがこれほど前面に出た作品も珍しい。 一つの迷いもないかのように、真っすぐに力強く引かれた線は見る者の気持ちをも引き締めてくれるようだ。 私は陽炎の立つような夏の日に、ちょっとこの作品をかけておきたい。 真夏の空から視線を作品へ移したその一瞬、滝坪で唸る水音が聞え、清らかな水の冷たさまで感じられそうだ。