加島美術 Mail News vol.50 2017/05

美術品展示販売会「美祭-BISAI-」 残り日数わずか!

美術品展示販売会「美祭-BISAI-」
特別展「伊藤若冲展 - 若冲をあなたのそばに」同時開催中!

現代的な空間と、伝統的な茶室を備えた和のギャラリーに、中世から現代までの日本画、洋画、墨蹟などがずらりと並ぶ本展。ガラスケースを通さずに、作品を直に見る醍醐味こそが「美祭」の魅力です。

人から人へと数百年にわたり受け継がれてきた作品の数々。その美しさは日々の暮らしに彩りを添え、その歴史は過去の人々と現代のわたしたちの繋がりを教えてくれます。
今回の出品総数は約420点。
特別な一点との出会いを探しに、是非お立ち寄りくださいませ。

2017年4月22日(土)~5月7日(日) 会期中無休
時間:10:00〜18:00
会場:第一会場:加島美術  第二会場:和田画廊(伊藤若冲展)

美祭-BISAI-特設サイト
http://www.kashima-arts.co.jp/events/index.html

今月の逸品  柴田 是真 「円窓鐘馗之図」

柴田 是真 「円窓鐘馗之図」

絹本 着色 共箱 庄司芳真鑑定証
本紙 120×39㎝ 全体 195×51㎝ 全体を表示

唐の時代、玄宗皇帝の夢に出てきた小鬼を退治する鐘馗。日本では端午の節句や疫鬼を退け魔を除くとして親しまれている。勇壮な髭を蓄え眼光は炯々としており、その威圧感に円窓の手前の小鬼は恐れをなして身を小さく屈めて逃げる。鮮やかな朱色に金砂子を撒いた円窓に雄渾な筆法と斬新な図柄はいかにも是真らしい。蒔絵師であり絵師でもあり、絵画工芸の枠組みを超え、軽妙洒脱で粋な作品を数多く産み出した柴田是真。本作品は箱に行年八十翁と記があり、つまり宮内庁に所蔵されている杉戸絵を奉納した明治十九年、晩年のまさに是真円熟期の時の作品である。

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橋本麻里の日本美術カフェ VOL.4(後編)
若冲の「青」

こうした旧来の「若冲観」を覆す研究をこれも近年、宇佐美英機・滋賀大教授(日本商業史)が明らかにした。つまりこういうことだ。明和8年(1771)、青物市場の営業認可をめぐって、若冲の生家「枡屋」が属する錦小路青物市場に対し、ライバル関係にある五条問屋町青物市場が奉行所に異議を申し立てたことから、錦小路青物市場は営業停止に追い込まれてしまう。隠居の身ではあるものの、若冲は町年寄として奉行所との交渉にあたり、野菜を出荷する近郊の村々の百姓の協力も得て、市場の再開を求める願書の提出に漕ぎ着ける。一方、奉行所からの、「枡屋」のある帯屋町だけは営業許可を出そうという切り崩し工作も退け、粘り強く交渉を続けた。3年弱に及んだ交渉は、錦小路青物市場が年あたり銀35枚の冥加金を納めることで決着したが、若冲は途中、町年寄の役を降りている。これは江戸に上って幕府へ訴え出ることも覚悟した若冲が、万一咎めを受けた場合、周囲に累が及ばぬよう、配慮した結果であったという。

騒動の渦中にあって、同業者の先頭に立って理不尽と戦い、情理を尽くして解決を図ろうとする若冲の姿は、とても社会性に乏しい「絵バカ」には見えない。京都という都市の活力となってきた、お手本のような「町衆」ぶりだ。こうした若冲のアクティブな側面を、絵画の領域で証明するのが、プルシアンブルーの使用なのかもしれない。

その青色は平成11年(1999)から6年がかりで行われた《動植綵絵》全30幅の修復・調査事業の過程で発見された。若冲は動物や植物など、描くモチーフを的確に表現することに強い執着を見せており、岩絵の具を混ぜたり、その上から植物性の染料を重ねたり、肉眼ではわからない細部に及ぶ驚異的な工夫を凝らしている。「群魚図」画面左下隅のルリハタに塗られた濃青色も、「この色でなければ」という検討の結果、選ばれた色であったはずだ。この部分から検出されたデータは、藍でも群青でもなく、プルシアンブルーの存在を示唆するものだった。

宝暦5年(1755)頃から制作を始め(あるいはその前年からとも)、明和3年(1766)に完成した《動植綵絵》の中でも、「群魚図」は最終段階で描かれたものだと考えられている。ということは、現在プルシアンブルーの最初期の使用例とされ、1770年~1779年のいずれかで描かれた源内の《西洋婦人図》から、少なくとも4~5年はさかのぼることになってしまう。

平賀源内は、プルシアンブルーが長崎に入荷した記録のある明和7年(1770)に長崎を訪れていること、「プルシアンブルーは世間の絵の具屋にはなく、神田に住む平賀源内が所持している」と記した同時代の書があることなどから、1770年年代に源内がプルシアンブルーを所持し、それを絵に用いたことは、ほぼ間違いない。これに対して、若冲とプルシアンブルーの関係をほのめかす状況証拠のようなものは、今のところまったく見つかっていない。若冲はいったいどうやってプルシアンブルーを手に入れたのか。ひとつの可能性として示唆されるのは、本草学や蘭学に関心を持つ文化人によるネットワークの存在だ。

西福寺の襖絵を若冲に依頼した、大坂屈指の薬種問屋・吉野五運の店では絵の具も扱っていたし、若冲と交遊のあった大坂の文人、博物学者として名高い木村蒹葭堂は、《動植綵絵》のずいぶん後ながら、プルシアンブルーを所持していたことがわかっている。まだ仮説の段階だが、若冲はこうしたネットワークの一員としての立場を生かして、プルシアンブルーを手に入れたのではないだろうか。入手ルートの解明については今後の研究を待つしかないが、従来のイメージを超えた、勇気と行動力を備え、傑出した実力を持った絵師、という若冲の新しい相貌が今、少しずつあらわになりつつある。

※上記はカタログ美祭18号(2015年10月)に掲載されたコラムです。

橋本麻里

日本美術を主な領域とするライター、エディター。明治学院大学非常勤講師。2016 年春より公益財団法人永青文庫の副館長を務める。新聞、雑誌への寄稿のほか、NHK・E テレを中心に、美術番組でも解説を担当。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる[京都国立博物館]』(集英社クリエイティブ)ほか多数。

   
お知らせ

「SEITEI -蘇る!孤高の神絵師- 渡辺省亭展」 ご来場の御礼

省亭展では3000人を超える方にご来場いただき、また、SNSでも反響が多く、大盛況のうちに4月9日(日)に終了いたしました。ご来場頂きました皆様、誠にありがとうございました。今回の展示会をきっかけに、渡辺省亭が再び注目されるようになればと願っております。作品購入のお問い合わせにつきましては、加島美術までご連絡をお願い申し上げます。「SEITEI -蘇る!孤高の神絵師- 渡辺省亭展」 WEBサイトはこちら

伊藤若冲の作品をデザインしたマグカップを先行販売!

有田焼と若冲の出会い。有田焼ブランド ARITARITA(アリタリタ)より 伊藤若冲モデルが登場!加島美術及び、伊藤若冲展会場にて先行販売をおこないます!有田の職人の手仕事により、ひとつひとつが個性を持った温かみある風合いに仕上がっています。ぜひチェックしてください!

加島美術 Instagram スタート!

加島美術 Instagram がスタートしました!ぜひフォローをお願いします!kashima_arts Instagramはこちらから。

写真家六田知弘氏の作品が「GINZA SIX」のパブリックアートに!

4月20日にオープンした、銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」。13階にあるザ・グラン銀座のレセプションの壁面には写真家六田知弘氏の作品をみることができます!六田知弘氏のプロフィールはこちら。六田氏の作品については加島美術までお問い合わせください。

BSフジ「若冲をもっとあなたのそばに」反響続々!

4月22日(土) に放送された、BSフジ「若冲をもっとあなたのそばににてナレーションを担当していただいた佐賀龍彦氏(LE VELVETS)のファンの方から沢山のメッセージを頂きました。誠にありがとうございました。

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