絹本 着色 円山應瑞鑑定書
31×88㎝ / 130×94㎝
江戸絵画の巨匠、円山應挙による本作は、親子と思しき熊が雪山を歩む姿をのどかな風情で描いています。注目は、随所に光る應挙らしい巧みな技法です。
観察を重視した「写生」によって日本画の新たな地平を切り開いた應挙。とくに動物表現はリアルかつ愛らしさがあり、今なお應挙が愛される所以です。当時まだ珍しかった遠近法を取り入れた絵師でもあり、本作も奥行きのある風景描写が特徴です。また、白雪降り積もる松の佇まいは国宝《雪松図屏風》を想起させる堂々としたものであり、本作は應挙卓絶の画技と表現が見事に凝縮された逸品といえるのです。