ガラス絵 額装
本紙15cm×19cm/全体27cm×31cm
昭和を代表する版画家のひとり、清宮質文。木版画を中心に、水彩画やガラス絵なども制作し、深く澄んだ色彩とシンプルな形によって、静謐で詩情豊かな独自の世界を築きました。蝶や夕日、夜の風景など、身近なものを題材としながら、現実の景色を超えた、どこか夢のような世界を描いた作家です。
本作では、深い藍色の夜のなかに、一匹の白い蝶が浮かんでいます。暗い画面のなかに白い蝶だけが淡く浮かび上がる姿は、まるで月明りに照らされ、ほんの一瞬だけ姿を現したかのようです。
ガラス絵は、ガラス板の裏側から絵具を施し、表側から鑑賞する技法です。ガラスを通して見ることで、絵具の色には独特の透明感が生まれ、光が画面の奥から滲み出てくるような趣があります。清宮はこの性質を生かし、深い闇と淡い光が共存する、静謐で詩情豊かな世界を描きました。
蝶という儚い存在と、夜の静けさ。そこに浮かぶ白い羽は、今にも闇のなかへ消えてしまいそうでありながら、不思議なほど確かな存在感を放っています。
秋の夜が少しずつ長くなり、静けさを感じるこの季節。月明りのような淡い光のなかに浮かぶ一匹の蝶を眺めながら、清宮質文ならではの幻想的な世界に、しばし心を遊ばせてみてはいかがでしょうか。





















































































