Yulia’s Voyage to Japanese Art ユリアの日本画浪漫紀行

Vol.02
渡邊省亭『美人画』
渡邊省亭 Watanabe Seitei
渡邊省亭 渡邊省亭『美人画』


絹本 着色 額装
本紙寸法 110×55cm
全体寸法 133×71㎝

Vol.02 渡邊省亭『美人画』

初めて渡邊省亭の名前を知ったのは「迎賓館赤坂離宮」の『七宝花鳥図三十額』という七宝焼の作品でした。
涛川惣助という七宝作家の作品ですが、その下絵を手掛けたのが渡邊省亭です。
四季折々の草花や鳥が描かれ、パッと見て日本画的なのですが、その色彩やリアルな表現にはモダンさを感じずにはいられない不思議な作品達は、近代化の象徴である迎賓館にピッタリだと思いました。
迎賓館赤坂離宮はヴェルサイユ宮殿を彷彿とさせる華やかな建物ですが、内部の装飾をよく見ると金色の鎧武者や日本刀等、日本のモチーフが沢山散りばめられていて、まさに明治の日本を物語る和洋折衷な設えなのです。

そんな西洋的な印象すら感じさせ、今にも鳥達が動き出しそうな明治時代の息吹を感じる花鳥画の画風とは打って変わり、省亭の美人画からは浮世絵的な、江戸の風情すら感じます。
五つ紋の引き振袖に、鶴亀等おめでたいモチーフの豪華な鼈甲のかんざしを挿し、角隠しをしていることから、花嫁の姿でしょうか。
まとまった色彩で描かれているので、彼女の肌の白さや、何より立て矢結びにした緑色の丸帯や宝尽くしの柄が美しく引き立っています。
また、ゆったりとした着物の着方や、着物から覗く小さな手は、鏑木清方や上村松園の描く美人画とも何か違う、どこか耽美な印象を受けました。

 


 

【筆者のご紹介】 マドモアゼル・ユリア
DJ兼シンガーとして10代から活動を始め、着物のスタイリング、モデル、コラム執筆やアワードの審査員など幅広く活躍中。多くの有名ブランドのグローバルキャンペーンにアイコンとして起用されている。2020年に京都芸術大学を卒業。イギリスのヴィクトリア・アルバート美術館で開催された着物の展覧会「Kimono Kyoto to Catwalk」のキャンペーンヴィジュアルのスタイリングを担当。
https://yulia.tokyo/