Yulia’s Voyage to Japanese Art ユリアの日本画浪漫紀行

Vol. 04
群雀図
長澤蘆雪 Nagasawa Rosetsu
長澤蘆雪 群雀図

絹本 着色
昭和17年大阪美術倶楽部某家売立目録所載
27×32㎝ / 111×43㎝

Vol. 04 長澤蘆雪『群雀図』

蘆雪の描く、擬人化されたような動物の絵が大好きです。

「虎図」の虎には怖さは無く、なんだか漫画っぽい可愛らしさを感じるし、「白象黒牛図屏風」の犬は間の抜けた顔をして座っていて、
蘆雪の描く動物はどれも愛らしく、なんだか可笑しみすら感じます。
今回のモチーフである雀も、蘆雪は好んで度々描いていたようです。この雀たちも可愛さだけでは無い、蘆雪特有のクセの強さを感じました。

今回の作品で私が一番気になったのは、作品と表具の関係でした。
表具は、作品が多くの人の手を渡ってゆく中で幾度も仕立て変えられるものなのだそうですが、この作品の表具は手描き更紗がとても印象的です。
更紗はインドが起源の木綿の生地で、大航海時代に世界中に広がりました。日本でもその異国情緒溢れる模様と色彩が魅力となり、室町時代から茶道具や衣服の生地として用いられたり、何より、海外から輸入される更紗は当時は貴重なものであったはずなので、その時代のオシャレさん達に人気でした。
こちらの更紗はそんなに古いものでは無いそうなのですが、手描き更紗という、他には無い生地を選ぶあたり、この掛け軸の持ち主だった方は、かなり洒落たこだわり屋さんだったのではないでしょうか。
なんだか西洋風の壁紙のお家の窓の外の景色のようにも見えます。

今回の作品からは表具の仕立てによって作品の楽しみ方がこんなにも変わるんだという事を教えてもらいました。

【筆者のご紹介】 マドモアゼル・ユリア
DJ兼シンガーとして10代から活動を始め、着物のスタイリング、モデル、コラム執筆やアワードの審査員など幅広く活躍中。多くの有名ブランドのグローバルキャンペーンにアイコンとして起用されている。2020年に京都芸術大学を卒業。イギリスのヴィクトリア・アルバート美術館で開催された着物の展覧会「Kimono Kyoto to Catwalk」のキャンペーンヴィジュアルのスタイリングを担当。
https://yulia.tokyo/