絹本 水墨 79×32㎝ / 159×43㎝
江戸時代中期に活躍した長澤蘆雪は、伊藤若冲や曽我蕭白らとともに「奇想の画家」として高く評価されています。自然美や動植物の魅力を最大限に引き出す表現力は、比類なきものです。 靄越しにそそり立つ富士山を描いた本作は、霊峰の神々しさと雄大さを墨の濃淡と刷毛さばきのみで見事に描いており、繊細さと大胆さを併せ持つ蘆雪らしい魅力が凝縮された作品です。豊かな墨の表情は、代表作の「虎図襖」や「月夜山水図」にも通じるものがあります。生涯、新しい表現を求め挑戦し続けた蘆雪にあやかりたい縁起物の一幅です。