Work / writer
WORK OF THE MONTH
円山應挙「菊花雙鶉図」
絹本 着色 小津家鑑定書
33×57㎝ / 125×70㎝
江戸中期に京都で活躍した画家・円山應挙。自然観察を基本とした「写生」の概念を重視した彼の作風は、日本画を新たな境地へと導きました。二羽の鶉を描いた本作は、應挙の卓越した写生の技が光る逸品です。一枚一枚を緻密に描いた羽の様子や、鶉の表情の描き分けは見事。しなやかな枝ぶりとグラデーションで描かれた菊とともに、画面全体に瑞々しい生命力を漂わせます。のどかな画題でありながら、高い気品と風格が感じられる本作は、表面的な写生にとどまらず生命の本質へ向けられた應挙の眼差しそのものといえるでしょう。安永7年、應挙47歳、壮年期の作品です。